CV PTメンバー・金田 真聡インタビュー

ドイツ・ベルリン現地の設計事務所で建築士として働きながら、執筆や講演活動を通してドイツの建築や社会について日本に情報発信を行っている金田真聡さん。

ドイツと日本の両方で活躍されている金田さんに、ドイツ行きのきっかけやドイツの職場で重視されている “人に頼らない仕組み”づくりについてお話を伺いました。

◉ ドイツに行き住むことになった理由ときっかけ


まず1つ目は、学生の頃にバックパッカーでヨーロッパ旅行をしたこと。もともとヨーロッパ建築に興味があって旅行しましたが、その時にいつかヨーロッパで建築設計をしたいと思いました。

2つ目は、東京の航空写真を見て「日本の都市環境がこれでいいのか?」という疑問を持っていたことです。疑問は持ちつつも、就職活動の流れに乗り大学卒業後はゼネコンに入社し、マンションやオフィスビルを設計していました。

3つ目は、東日本大震災です。当時は東京に住んでいましたが、エレベーターが止まって人がビルの上から降りられなくなったり、交通機関が止まって駅が人でパンクしたり、歩いて帰れず困っている人が大勢いたり…


こういう光景を目の当たりにして「経済効率を追求していった結果、建物が人のためになっていないのではないか」と感じました。

その頃にエネルギーヴェンデ(ドイツのエネルギー大転換)や高層建築に頼らないドイツの街づくりを知り、ドイツに行くことを決めました。英語を勉強し、とにかくドイツの色々な設計事務所に履歴書を送り、その中の一つの設計事務所で働けることになりました。

 

ドイツでは省エネ建築や再エネ推進が儲かる仕組み


 日本とドイツの違いは色々ありますが、エネルギーでも建築でも街づくりでも、ドイツは仕組みづくりがクレバー(器用な・賢い)だと思います。

例えば省エネ建築も再エネ推進も単なるきれいごとではなく、儲かる仕組みになっている・地域経済にプラスになるなど、経済性が裏打ちされています。


ドイツでは「働き方」の仕組みも日本と全く違う!


今、ドイツの仕組みの中で特に興味を持っている分野は、「働き方」です。ドイツでは仕事をする際、仕組みづくりに時間をかけます。“人に頼らない仕組み”づくりをして、その後の仕事を効率的にすることを大事にしているのです。 
 
日本の多くの職場では“人に頼る仕組み”になってしまっていて、担当者が急に不在になると業務全体が滞るような状況になりがちです。そうならないように、ドイツで働く人は自分の仕事を“見える化“したり、他人と共有したりすることがすごく上手です。

また、例えば、ある一つの作業を2回以上繰り返すときは手順を作っておき、新しい人が来たらそれを渡します。すると自分は教える時間を、相手は質問する時間を、節約することができ、双方の効率が上がるのです。「人に頼らない」というとドライに聞こえるかもしれませんが、「個人の自立」とも捉えることができます。

「何のための仕事の効率化」か?


ただ、注意しなければならないこともあります。仕組みづくりや効率化は「何のためにやるのか?」が重要で、効率化自体が目的になってはいけないということです。効率化の本当の目的は、重要な部分に時間をかけるようにするためだと思います。

そしてドイツの人にとって効率化の目的は明快で「残業しないこと」と「長期休暇」です。だから自分も同僚も長期不在にしても業務が滞らないように、徹底的に情報を整理して、ファイルの名前の付け方から統一して誰が見ても内容が分かるようにします。

私にとっての仕事の効率化の目的は、効率化によって生み出した時間を設計やデザインに使い、省エネ建築をより面白く、魅力的なデザインにすることです。

現在取り組んでいること


(株)低燃費住宅(代表理事早田が代表取締役を務める工務店)では働き方の改革に取り組んでおり、社員や加盟店の皆さんにセミナーを行ったり、一緒に仕組みづくりを行ったりしています。

インタビューを終えて…


日本の住宅業界・建築業界は、労働の拘束時間が夜遅くまで長かったり、週末に休めなかったりと、なかなか、仕組みとして働きやすい職場ではないことが多いように思います。

そんな職場だからこそ、ドイツ式の仕組みの導入や効率化は、働き手自身のライフワークバランスの改善につながり、働くモチベーションも向上するのではないでしょうか。

また、これまでの省エネ建築は「性能」で売られることが多かったようですが、省エネ建築が面白く、かっこよくなって、かつ、住む人のための本当の建築になったら素晴らしいですね。

コメント: 1 (ディスカッションは終了しました。)
  • #1

    Heide Chestnut (水曜日, 01 2月 2017 08:43)


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