clubVaubanロゴマーク

エネルギー自立地域経済好循環 × イノベーション 
                 持続可能なまちづくり

ドイツ・フライブルクへの合同視察報告

2011年6月28日から7月3日にかけて、クラブヴォーバンの会員様がドイツ・フライブルク市を中心に訪れ、合同で視察・意見交換会を行いました。

参加された会員様に印象に残った写真を1枚、そしてコメントを寄せていただきましたので、順にアップしてゆきますね。

株式会社タケイ 竹井 寿太郎
現在開発途中のヴォーバン地区の写真です。
ドイツではコーポラティブの住宅が多いです。コーポラティブとは同じ考えや、気の合う仲間達と充分協議し、自分達が納得できる集合住宅を作るという考えです。もちろんそのコンセプトを実現すべく、設計士や工務店が建築する訳ですが、それぞれの建物が効率的で個性豊かです。
ヴォーバン地区は東京23区と同じ人工密度でありながら、緑豊かな自然の多さ、そして人々の和やかさ、感動的でした。
「皆が活き活きと幸せに生きる事ができる持続可能社会に貢献する」
この事が充実したドイツ視察ツアーを通して私が頂いた、熱い刺激と大きな目標です。

株式会社石川組 神原 孝吉

フライブルク市の中央を流れるドライザム川。中世の時代から工業用水の確保の目的で、河川も真っ直ぐに付けなおしているが、今では河川に自然石を配し、段差を設け自然バッキにより酸素を取り入れ水の浄化を行っている様子が伺えた。
また、いくつかの場所では、護岸のコンクリートブロックを壊し、木、草等の植物を植栽、出来るだけ自然に近い形に作り替えているようにも見えた。人為的にこの様なことをするのが正しいかどうかはわからないが、少なくとも多用な生物環境を作る試みに、ドイツ国民の環境に対する意識の高さにあらためて心を打たれました。日本とは、雨量が異なるとはいえ適切に管理された山が涵養の役目を果たし、自然に近い状態の河川が水を浄化している。
私の家のすぐ近くに県の2級河川が流れています。管理されてない山は(そのほとんどが、水源涵養保安林)雨が降るたびに川に泥水を流し込み、そのドロはダム湖に沈着。潅漑期のダムの放流はダムの湖底から行うため、その泥濘化したドロも一緒に河川に流れ込みます。
私の小さいころ鮎の自然遡上が見られた程の清流は、今は葦やヨシでその流れも見えません。また自然浄化の出来ない富栄養価した川はすぐ茶色い苔が生え、昔の面影はすっかりと消えてしまいました。山が荒れると川が荒れる、川が荒れると海が荒れる。だから山と海は恋人同士。まさにその通りだと思います。
昔浜辺近くで捕れた魚が,今は沖へ出ていかないと捕れない、もちろん漁獲量も減った。お客さまの漁師が嘆いてました。
私宅の裏の川でも、見かける魚の種類が異なってきました・・・・ホンのここ数十年で・・何百年、何千年と営々続いてきた大きな循環の輪が、近年、ほんの数十年でとぎれてしまったようです。
株式会社石川組 建築部設計 入交元太

フランス アルザス地方の中心部ストラスブール。世界文化遺産グランディルが鎮座する姿は圧巻の一言。この歴史的にも重要な都市に、リチャード・ロジャースの人権裁判所や欧州議会などの斬新な現代建築があるが、新と旧の融合具合が実に心地よい。

中でもストラスブール駅は1883年に建てられた古い駅舎を、2007年TGV開通を機にダークグリーンのガラスシェルで覆ってしまった、現代建築好きにはたまらない作品。このダークグリーンをイメージカラーとしたトラムや停留所などの再開発・景観整備「Re:Design」が公共交通の乗客数を大幅に増加させたとか。デザイン的に優れたトラムは、歴史的な街並みにも不思議と調和し人々を街なかに呼び寄せる。デザインが人々の心を動かす瞬間に出会えたようだ。

株式会社国分建設 小菅国洋
限られたエネルギーをいかに効果的に使い、CO2の発生量を抑えて環境に配慮した(約80%抑えたと聞きました)住宅の要が、この地下室に集約されているのを目の当たり
にして、日本とのあまりの差に愕然としました。
また、共同で使用する洗濯機と、共同で使用する冷凍庫の地下室にもびっくりしました。
電気使用量の高い洗濯機は、共同使用で抑え、太陽熱を利用した温水を使用するということを聞き、ここまで徹底している事に対し、また衝撃を受けました。
ドイツと日本のエネルギー・環境に対する国民一人一人の意識(というより国自体の方針・行動)のあまりの違いが良く分りました。この研修で覚えたことば「持続可能」を実践している写真です。

クラブヴォーバン 幹事 吉田登志幸

 皆さん、これは一体なんだかわかりますか?・・・ってエラそうに聞いておりますが、かくいう私も村上さんに聞かれた時は頭の上が???でした。
 「これは“パン”の規格です」と答えられたときに衝撃が走りました!しかも、その歴史は中世まで遡りギルドやハンザ同盟が、パンと言ってもピン からキリまで、それをしっかりとこの写真のサイズで1kgのものをパンと呼ぶと規格化させていたというのですから衝撃以外の何物でもありません。因みに、 1kg以下のものは菓子パンと言うそうです。
パンをこういう形できっちり規格化させれば、色んなパンの品質比較も容易に判断できるというものです。またまた、因みにドイツの飲食店ではビー ルジョッキやグラスに必ず容量表示記載義務の法律があり、グラスなら0.3Lとか0.5Lと必ず書いてあります。これもこの流れと同じですよね。客として は店の値段比較がこれまた容易に出来るというものです。
 なぜ、私がこんなことにこだわるのかといいますと、我らクラブヴォーバンではエネルギーロスの限りなく少ない住宅づくりを提唱していまして、そ の中でもとりわけ、先の基準、共通の“モノサシ”つくりを何とかして日本でも普及・定着させたいと取り組んでいます。え、そんなの普通とっくにあるんじゃ ないの?と思われるかもしれませんが、この住宅業界において統一化されたモノサシはないのです。中世からこういう規格化を徹底してきたドイツでは当然あり ますし、EUのほとんどの国でも“エネルギーパス”という評価基準をつくっているんです。
 クルマ業界でいえば“10.15モード”という第三者機関で測定されたモノサシによって、クルマの燃費表示が謳われています。この10.15 モードでさえカタログ表示と実際燃費は違うという指摘があり、“JC08モード”というより実際走行に近い測定方式が採用され2011年4月より各メー カーはカタログ表示が義務付けられています。更に言えば、それでもまだ実燃費と開きがあるという指摘からまだまだ議論されているというくらいですから、こ のモノサシというのはいかに重要な価値判断項目になっているかがお分かりだと思います。
 で、我がニッポンの住宅業界はクルマの話どころではなく、モノサシすらつくっていません。住宅と言うおそらく一生で最も高い買い物をする判断基 準が客観的でないデータしか無いというのは由々しき事態だと。そんなことで、このパンの事を教わり、決意を新たに住宅の統一モノサシ、エネルギーパスを一 刻でも早く普及させねば!と心に誓った私でした。
コメント: 0 (ディスカッションは終了しました。)
    まだコメントはありません。