2015年

3月

24日

持続自治体会議(2015年2月26日 設立会議)

<プログラム>
1 設立にあたっての挨拶
  (CV代表理事 早田 宏徳)
2 会議設立にあたっての諸事項の説明、質疑応答
  (進行役:CV代表 村上 敦)
3 省エネ建築の推進とエネルギーパスの活用
  (講師:CV理事 今泉 太爾)
4 長野県環境エネルギー戦略
  (講師:長野県環境部環境エネルギー課企画幹 田中 信一郎)
5 空き家対策とその展望について
  (講師:CVコアメンバー/不動産コンサルタント 長嶋 修)
6 参加自治体の報告 〜地域力を強めるニセコ町
  (報告:ニセコ町企画環境課 大野 百恵)

1 設立にあたっての挨拶(CV代表理事:早田 宏徳)

・自分は18歳から住宅業界に携わり、日本で高性能な住宅をつくっていると自信があったが、2008年にドイツに渡り、あまりのレベルの違いに衝撃を受けた。

・それから日本の都市計画、公共交通、地域熱供給、空き家の問題等々に疑問を持ち、ドイツみたいなまちづくりをしよう!とクラブヴォーバンを立ち上げた。

・まずやるべきことは家の燃費の見える化ということで、2010年からエネルギーパスを日本にもってきた。長野県では条例にしていただき、民主党の前田元国交大臣(東日本大震災当時)にもエネルギーパスを導入すると言ってもらえた。

・その後2012年に世界基準の省エネ住宅をつくる株式会社 低燃費住宅を設立。今後は低燃費住宅の仕様で賃貸をスタートする。省エネ住宅・賃貸で実現不可能と言われていることを実現できると証明しているところ。

・ただし、ミクロの住宅のことだけに取り組んでいても自治体はよくならない。自治体は人口減少に歯止めをかけ、雇用を生み出し、安全に暮らせるインフラをつくっていかなければならない。

・私たちが持っている知見を自治体の皆さまにお伝えし、他の民間の方々とも協力しながら、少しずつ持続可能なまちづくりの実現のために歩き出したいと思う。

・まちづくり・自治体との連携という構想から6年、自治体の方々にお集まりいただき、会議する機会が持てて本当に嬉しい。今日は長い時間ですがお付き合い下さい。

2 会議設立にあたっての諸事項の説明、質疑応答(進行:CV代表 村上 敦)

【この会議の運営方法・活動内容について】

 ①会議は年2回、2月と10月に東京で開催する。
 ②会期は4月1日~3月31日とし、途中参加・退会も可
    能。
    ただし、参加自治体の上限は10自治体程度と考えてい
  る。
自治体内で意思統一ができていないところについて
  は正規の
参加自治体とはせず、聴講生という扱いで進め
  ていこうと考え
ている。
  ③会費は1年間で5万円。支払い方法(会費としての支払
  いがい
いか・会議参加費としての支払いがいいか)や、
  5万円が支出
できない場合は別途協議。

・次回は1015日で、希望する自治体やエネルギー関連の企
 業な
ども聴講生として会費を支払って参加できるという形
 で実施した
い。

・この会議で自治体同士やスタッフとのつながりを作り、個別にプロジェクトを実施するということも歓迎するし、出来る限り支援したい。

・それとは別に、年1回 参加自治体による相互視察を行う。この視察は広く浅くではなく、テーマを絞って深掘りする形で実施したい。現場で何が問題になっているか、自分の自治体でやるならどうするか、という議論をしたい。

・相互視察の初回は20151019日~20日に下川町で行う。
 その際に次回の視察について議論したい。

・この自治体を仲間に入れてほしい、というところがあれば事務局にお知らせください。

・この会は、会自体を大きくして何かしようというわけではない。毎回レクチャーをして、その中で気になることがあれば講師や他の自治体とコンタクトを取れるようにし、そのノウハウを自治体に落とし込んでいただくということを主体にして継続したい。

・メディアに向けて広く発信することも行っていきたい。

・今後この会が大きく発展するかどうか、日本で持続会が1つのブランドとなって様々なところで口にされるような会になるかどうかは、ひとえに参加されている自治体の皆さまのご協力にゆだねるところがあるが、前向きに検討していただき、「持続可能な発展を目指す自治体会議」を今回からスタートしたいと思う。

【参加自治体のメンバー紹介】

 ①下川町
  人口3500人と小さな町だが、環境モデル都市・環境未来都市となっている。
  H16に木質バイオマスを導入し、次に公共施設をつなぐ仕組みをつくり、今は集落のエリア一帯を木
  質バイオ
マスで熱供給。次にコジェネを使いながら地域全体に熱供給をしたい。
  エネルギーによって町の生き残りをしていきたいということで参加した。

 ②ニセコ町
  後ほど事例発表の際に町の紹介をする。

 ③二戸市
  人口29,000人弱。エネルギーの具体的な取り組みよりも、地域としてどう生き残るかという思想的な
  ところに
感銘を受け、共鳴して会に参加した。

 ④葛巻町
  「北緯40度、ミルクとワインとクリーンエネルギーの町」というキャッチフレーズでまちづくり。
  風力・太
陽光・木質・メタンのすべてに取り組み、電気エネルギーは自給率166%。今後皆さんから
  情報や知恵を頂戴し
たい。

 ⑤北栄町
    北栄町は「風車とコナンに会える町」。町営の風車は9基あり、名探偵コナンの作者青山剛昌氏が生
  まれ育っ
た町でもあるので、それも併せてまちづくりをしている。

2014年9月の準備会議での宿題について(書籍『kWh=\』参照)】

 ①冷蔵庫の入れ替え(116ページ)

kWh=\の考え方を社会に普及するのに早いのは冷蔵庫の入れ替え。冷蔵庫は過去10年で驚異的に省エネ技術が進化。古い冷蔵庫を新しいものに入れ替えると環境負荷が低減し、コスト面でもランニングコストが低下することで10年~15年ぐらいで元が取れる。

・省エネ改修、地域暖房といったハードルの高いものよりも、ハードルの低いもので成功体験を積み重ねて最終的に大きな物事を成し遂げるという方法をクラブヴォーバンとしては推薦したい。

・古い冷蔵庫を入れ替えた時に経済的・環境的に何が起こるか?が分かるので、これを「省エネ=投資をしてエネルギーコストを削減することで投資分を後で回収する」という考え方の入り口にしてほしい。

 次回の会議で「こういう取り組みを始めた」という報告を聞くことができれば幸い。

 ②団塊ジュニア層の女性の活用(230ページ)

・人口減少している自治体では雇用のミスマッチが生じているが、これは自治体内の人材を活用できていないから。

・いい人材が自分の能力を発揮できる自治体は豊かになる。それができない状況、人材不足で悩んでいる自治体というのは、地域の中に眠っている人材を発掘して能力を活かせるような仕掛けが必要。

3 省エネ建築の推進とエネルギーパスの活用(講師:CV理事 今泉 太爾)

・住宅を省エネ型で建築すると初期投資は大きくなるが将来
 支払う
光熱費は安くなる。

 初期投資をかけて省エネ建築を選ぶということは将来の光熱費を建築費にコンバートするということ。

・これを理解して提案できる人材をつくるのが日本エネルギ
 ーパス
協会の仕事。

・一般的な住宅の年間光熱費を30万円とすると、30年間
 で900万円
となる。
 非省エネ住宅の場合は900万円全額が電力会社に支払われ
 る。こ
のうち半分でも建設コストに回せると450万円が地
 元に流れる。

・省エネ建築を選ぶかどうかは、提案するかしないかというのが大きく影響する。

 担当者が省エネの提案を出来るか出来ないかによってお金の流れが大きく変わる。

・日本で省エネ住宅が進まないのはそこが理解されていないから。家が燃費で判断できる状態であれば流れが変わるのではないか、ということで私たちはエネルギーパスを導入した。

・住宅の状態を事前に分析し、最適な対応策を提案出来る人材を地元に増やし、それをビジネススキルまで落としていくことが、地元で建築の雇用を維持し、拡大していくために必要。

・消費者に分かりやすいのは光熱費。エネルギーパスを使えば、何をどう変えると光熱費がこう変わる、という¥の話ができ、将来の光熱費を建築費にコンバートできるよう誘導できる。

・省エネ建築は新築から始めて人材を育成し、将来は既存住宅のリフォームまでもっていくとかなりの仕事がある。ドイツの例からも明らか。建築業はエネルギー産業。地域の省エネ産業として地元の雇用を拡大するためには必要不可欠。

・省エネ建築はどの自治体でもできる地方創生の方法。どこでも家は必ずあり、住んでいる人がいて消費しているエネルギーがあるから。それを削減する方法は建築で、確実にできる。あとはやる気と人材がいるかどうか。

・日本が目指している住宅の性能は3つ。耐震、劣化の軽減(長持ち)、省エネ。

 耐震は義務化しているのであと2割。省エネは義務化していなかったため95%の家にまともに断熱材が入っていない。だから日本の家は寒く、暖房費を節約するために我慢するのが普通だが、これは熱に対する認識が甘い。

・このことは自治体にも返ってくる。75歳以上の高齢者の溺死は他の国と比較して日本が突出。理由は家が寒いこと、毎日お風呂に入ること。寒い家と熱い風呂、急激な温度変化により風呂の中で意識を失うので溺死してしまう。理屈も原因も分かっているが法律になっていないためきちんと対応されていない。

・これから少子高齢化で、地元でそういう人が増えてくるので、基本的に建物をインフラとして捉えてリスクを下げる必要がある。

 交通事故の例だと、死亡者4千人に対して重度の障害を抱える人が約5万人、軽傷者まで含めると約80万人。

 これと同じで、溺死した人の背後に障害を抱えることとなった人などが数多く存在する。そういう方が増えると地元の医療費もかさむし、対応するための医師確保など様々な行政コストが上がる。

・これから団塊の世代という頭数の大きな世代の人たちがそういう状況になるときに、医療費を支払えるか?確実に将来訪れる事態、これに対応するためにはしっかりソリューションとしてビジネスで省エネ建築を提案できる人材を地元にどれだけつくっておけるかがカギ。

・自治体でそれを支援する価値はある。長野県ではこの認識がある。

・省エネ建築の原資は補助金ではなく将来のエネルギーコスト。地元の工務店にやってもらう、林業などと組み合わせて取り組みすれば相乗効果。

4 長野県環境エネルギー戦略
  (講師:長野県環境部環境エネルギー課企画幹 田中 信一郎)

・自治体は人口減少対策・地方創生の計画にいかに今日聞いた話を入れ込み、国からお金をとってくることかが大事。
そういう観点でお話しする。

・長野県から出て行くエネルギーコストは概ね4000億円(化石燃料の輸入総額をGDPで按分)。この金額は長野県の主要産業の生産額に匹敵。これを10%でも削ることができれば400億円の新たな市場が県内にできる。

 それほどエネルギーは大きい話。

・なぜ長野県は自然エネと省エネを推進するか?
 環境は言わずもがな。大事なのは経済、いかに資金流出を減らして域内投資・域内消費に回すか。
それを通じてリフォームなどの新たな産業・事業を生んでいく、これはまさに活力と創造の源となる。環境だけでなく、むしろ経済や地域に重点を置いて話す。

【自然エネルギーについて】

・自然エネルギーは2種類あると考える。
 1つは利益の大半が大都市にいってしまう中央主導型。
 もう1つは利益の大半が地域に残る地域主導型。

 中央主導型を禁止することはできないが、行政としてどちらを後押しするかということは選べる。私たちは地域主導型を後押しし、中央主導型は後押ししていない。

・これを明確にし、考え方に沿う政策をつくるのに必要なことは次のとおり。

 ①固定価格買取制度の枠組み(これだけでは地域主導にならない)

 ②案件発掘から調査・設計・運営の一連のプロセスにできるだけ地域の事業者が参入できるようにするため、情報が地域の事業者に行き渡るようにすること

 ③地域の担い手が事業者になること

 ④地域の合意形成のためのルールづくり

 ⑤地域の資金(地銀・信用金庫や市民からの出資であれば利子や配当という形で薄く広くでも自然エネルギーによって得られた利益が地域に還元されていく。)

・固定価格買取制度は必要条件。自治体がどれだけ十分条件を整えられるかが大事。

・自然エネルギー普及のための施策には大きく2つの柱があり、1つは地域主導のための基盤を整える、つまり情報共有。もう1つは種別ごとの促進策。

・4月から新たに始めるのが収益納付型補助金。売電収益が上がったら補助金を15年かけて返してもらう。1年かけて金融機関等とともにその詳細を設計した。地域主導型を促進し、なおかつ金融機関にも経験を積んでもらうということを狙った補助金。

・グリーンニューディール基金については長野県は熱利用(チップボイラーや地中熱、雪氷熱)で使っている。防災の観点があれば熱利用にも使える。

・地元にお金が落ちないと言われている太陽光発電でも、たとえ全て材料が輸入だったとしても制度設計によってきちんと地元にお金が落ちるようにすることは可能。経済効果はラウパッハ先生にドイツ型の経済分析をお願いしている。


【省エネについて】

・省エネ・節電で得た利益は純利益。年商1億円の企業の光熱費が売上げの3%とすると、年間光熱費を10%削減した場合は売上げを1500万円伸ばしたのと同じ効果。

・県として一番大事なのは仕組みづくり。

 例えば省エネラベルの義務化。性能の良い冷蔵庫にはラベルが貼ってあるが、性能の悪いものには貼っていないので、消費者は性能で選べない。そこを義務化する条例をつくるのが県の役割。

 家庭の省エネサポート制度では、ガスの担当者に研修して省エネの知識を持ってもらい、検針で家庭に行った際に省エネの知識を普及してもらう。詳細は添付のガスエネルギー新聞参照。

・事業者向けとして、工場など一定規模でエネルギーを消費するところは県で義務化して省エネ計画書/報告書を出してもらう。

・県で出来るのは一定規模以上。中小・零細企業の規模だと県ではやりづらい。そこは市町村が商工会と連携して取り組むといい領域ではないか。

・建築の制度も今年度新たにスタート。新築時に建物のエネルギー性能を自己評価すること、自然エネの導入検討も義務づけた。来年度から戸建て住宅も義務化。建築事業者には県の予算で県が指定した評価ツール(エネルギーパス、CASBEEQPEX)の研修を実施し、2年で約3,000人が受講(うちエネルギーパス受講は1,500人程度)。

・エネルギー費用の抑制を構造化して地域経済を筋肉質にしていく、これを口だけでなくきちんと実行するために計画にしている。(長野県環境エネルギー戦略~第3次長野県地球温暖化防止県民計画~)

・目標は、経済は成長しつつエネルギー消費量と温室効果ガス排出量の削減が進む経済・社会。

・長野県が政策を変えるのに3年かかった。H22に今の知事になり、H23は方向性を決め、H24に計画をつくり、条例をつくり、制度設計を行った。この間、様々な関係者に丁寧に説明し、合意形成をおこなった。
H25年度は周知期間、マニュアル等をつくった。
3年かけて条例スタート。3年間腰を据えて取りかかったのでよかったのでは。

・個人的には、次の5つの観点で環境エネルギー戦略づくりに取り組んだ。この考え方は人口減少対策にも通じる。

 ①国内経済構造の変化

 ②国内人口構造の変化

 ③長期見通しが誤ることによりさらに行政資源が不足

 ④地域住民の意見を吸い上げるしくみが機能不全

 ⑤新しい制約要件

・最後に、皆さんに以下の統計に注目してほしい。

 どの病気で人が一番亡くなっているか?(長野県:循環器系疾患(脳梗塞、心筋梗塞等))

 どの病気に医療費が一番かかっているか?(長野県:循環器系疾患)

 どういう要因で要介護3以上になっているか?(長野県:35%以上が脳梗塞から。)

 月別で亡くなっている人数は?(長野県は12月・1月。年間を通してがんは横並び、循環器系はV字型。V字のトップとボトムの差は政策で減らせる。)

5 空き家対策とその展望について(講師:CVコアメンバー/不動産コンサルタント 長嶋 修)

・住宅が増え、空き家数も増えた。H25は空き家数820万戸
  空き家率13.5%。

 2008年当時(年間120万戸新築)のシミュレーションでは、このままのペースで2040年まで新築をつくり続けると43%が空き家になる。新築数を半分の60万戸にしても36%が空き家に。現在の実際の新築数は年間90万戸。

・根本原因は新築のつくり過ぎだが、対症療法として「空家等対策の推進に関する特別措置法」が出来た(2015年2月26日施行)。これまでは使えなかった固定資産情報が所有者特定のために利用可能になり、空き家処分の行政代執行もできるようになる。

・「都市再生特別措置法の一部を改正する法律」は去年8月に施行。都市機能誘導区域、居住誘導区域を設けて都市計画の線引きをし、コンパクトシティ政策につなげる。

 基本は駅周辺に集約するが、駅が無いところは道の駅を利用する。

 これまで道の駅といえば休憩機能・情報発信機能・地域の連携機能のごちゃまぜにとどまっていたが、ここに地域活性化機能を追加する。

・住宅取引の各国比較をすると、日本では新築は90万戸ぐらいつくっているが中古住宅の取引は非常に少なく、4550万戸ぐらい。他の先進国では日本の逆で、中古住宅流通市場の方が大きい。

・日本の住宅市場は新興国モデル。これを早く転換すべき。近年は日本の国交省でも大幅な改革を行っており、2030年~2040年には新築は4550万戸、中古住宅流通市場は200250万戸、という姿を目指そうとしている。

・日本の新築120万戸というのは世帯数の22%ぐらいにあたり、こんなに新築をつくっているのは住宅バブルがはじけている代表3カ国と同じ。

・日本は住宅に投資しているのに資産額が積み上がっていない。これは中古住宅の評価が適正にできていないから。

・こうした状況で必要な機能の1つはホームインスペクション。中古住宅を買う時に家を見極める、判断基準をつくること。昨年度から中古住宅市場活性化ラウンドテーブルを国交省で実施し、ホームインスペクションについて提言している。

・家を買う時はほとんどの人が住宅ローンを利用する=金融機関が認めてくれないと売主と買主が合意していても売買できない。だから金融機関がきちんと住宅の価値を評価できるようにするのが大事。

・アメリカでは金融機関とアップレーザー協会が中古住宅評価のガイドラインを出し、それを根拠に評価しているので、日本では中古住宅のガイドラインを金融庁が出すことを提案。

・具体的な評価方法は2つを組み合わせることを検討。(どちらも建物の価値は経年で下がっていくというのが前提)

 ①原価法。300万円分のリフォームをしたら300万円価値が上がるという評価法。 
  ただし、かけた金額以上価値が上がることもあるので評価方法として最善ではない。

 ②実際の築年数ではなく実質築○年ぐらいの状態だ、という評価法。

・もう1つの改革は、住宅情報データベースの整備。

 データベース内の情報自体はこれまでと変わらないが、これまでは固定資産情報は市役所、登記情報は法務局など、それぞれ役所に行かないと分からなかった情報が一元化される。

 また、成約情報も公開されるようになる。こういう情報をベースに売買されることにより、情報が集積され、透明性も出てくる。

・データベースにない情報はその家の実際のコンディション。それを把握するのがインスペクション。

・早大の小松教授によると家の平均寿命は木造住宅で64年、RC67年。きちんとメンテナンスすれば長持ちするものも多い。

 ホームインスペクションの経験から、中古住宅の品質は本当にバラバラなのに評価できていないために横並びの価値になっている。それを、良くも悪くも良いものは良い、悪いものは悪いで分けていこうという政策がこれから始まる。

・住宅情報データベースは来年度から横浜市で実験的に開始し、2018年に全国に広げる。それに向けて、皆さんのまちの、どこの立地で建物を建てるといいのか、どんなふうに金融機関と連携したらいいのか検討されるといいのではないか。

6 参加自治体の報告 〜地域力を強めるニセコ町(報告:ニセコ町企画環境課 大野百恵

・ニセコ町には約2000世帯が住んでおり、年間20億円程度の光熱費が域外に流出している。自治体の財政規模は45億円程度なので、20億円が毎年出て行くということに危機感を感じている。

・去年3月に環境モデル都市に選定。

 町の基幹産業は観光。人口約5000人の町に、157万人の観光客が訪れている。
近隣2町をあわせたニセコ観光圏では2003年から2013年にかけて観光客は10.3倍に増えている。

・もう1つの基幹産業は農業。ニセコ道の駅ビュープラザは地域活性化の拠点を形成する重点「道の駅」の1つとして選定されている。

・有効求人倍率は上がっており、道内では高い水準。

 課題は労働力不足(特に冬)、住宅不足、子育て支援施設の整備。

・ニセコ町の基本的な考え方:基幹産業である観光・農業はどちらも豊かな自然環境が基盤。この基盤が崩壊すると経済も崩壊するので、環境に関する施策を進めている。

・環境方針は3つ。

 ①景観保全、開発規制(景観条例など)

 ②資源・環境保全(水源保護条例など)

 ③地域内エネルギー循環政策(温暖化対策計画、環境モデル都市など)

・エネルギー関係では用水路へのマイクロ水力発電実験や雪氷熱の野菜倉庫設置をした。
 エネルギー種ごとの詳細調査では風力(昆布岳)・バイオマスや地熱利用を検討した。

・温室効果ガスの削減目標は2050年までに対1990年比86%減。
 観光業がCO2排出量全体の約5割なので、いかに観光業の部分で削減していくかがテーマ。

86%削減に向けた主な取組みは、民生業務部門では観光施設の温泉熱利用・省エネ

・再エネ導入、排出規制を検討、民生家庭部門ではスマートメーター導入など。

 創エネ部門では町内に3つの水力発電所があり、この3つで発電する電気はニセコ町全体で使用する電気の1.8倍程度になる。

・環境モデル都市に選定されたときの6つの柱は次のとおり。

 ①熱分野を中心とした低炭素なまちづくり

 ②持続可能な観光の推進

 ③観光と環境の横断的な取り組み

 ④町民生活における省エネ及び再生可能エネルギーの普及

 ⑤農業や産業における再生可能エネルギーの普及

 ⑥スマートコミュニティ・ニセコの実現

・情報共有と住民参加で、身の丈に合ったまちづくりが重要。産、学、官、金、住民など多様な人々と一緒になって地域全体をマネジメントする体制を構築したい。

 そして環境モデル都市として更なる成長を遂げるために、総合的な視点に立って環境政策を行い、国内をリードするモデル地域を目指す。最後には国際的な視点に立ち、国際的なリゾート地として成長させていきたい。