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エネルギー自立地域経済好循環 × イノベーション 
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PJ80セミナー第5回東京「ドイツのエネルギーシフト、再エネ推進の第二段階とは?」を開催しました

10月の今年度最後となるPJ80セミナーは、「ドイツのエネルギーシフト、再エネ推進の第二段階とは?」と題して、18日(火)に関西、19日(水)に東京で開催しました(関西開催のまとめは割愛します)。両日ともに盛況で、とりわけ東京会場では座席不足となり、途中から予約申し込みをお断りすることになり、希望されたのに受講が叶わなかった方には申し訳なかったです。

さて、内容ですが、

村上より、ドイツのエネルギーシフトにおいての再エネ100%シナリオ、ドイツのエネルギー政策や電力市場の最新動向の講義がありました。ドイツで再エネが普及した最大の要因は、国が2050年までに国内のエネルギー供給のほとんどを再エネにすることを「決めた」こと、地域の人々が地域の発電のために投資をしてきたこと、だそうです。ドイツの再エネの2/3の出資は地域型・分散型であり、一極集中の大手資本は少数派。ただし日本では、東京に資本家が集中しており、地域住民と投資家の温度差から、再エネ開発のプロジェクトで地域の住民とトラブルになるケースが散見されるようになってしまいました。このような形では再エネ普及の未来はないでしょう。

ドイツでは、2015年に総消費電力に占める再エネ発電の割合が32%を超え、FITと呼ばれる固定買取価格制度は終了し、発電事業者が自分で販売・価格付けを行うFIPに改正されており、来年にはFIP+入札という制度に替わります。電力市場もより柔軟に発展していて、IoTなど新技術が導入され、これまでにない新しい電力事業を行うベンチャーがたくさん出てきています。

続いて、日本アルファ電力(株)取締役兼、(株)Looop事業本部企画開発部部長の小嶋祐輔氏より、日本の電力自由化にともなうPPS事業の最新動向と将来予測について紹介がありました。太陽光発電のサプライチェーン全てに関わるLooopは、震災後ボランティアで太陽光発電を被災地に設置したことがきっかけで2011年に創業、6期目にして116億円の売上を誇ります。今後は電力自由化を受け、新電力の事業者がさらに増え競争が激しくなることが予想されていますが、2020年の発送電分離によって託送料金が変わったり、電力事業の枠組みが変更される予測について詳細なお話を頂きました。

また、国内外で数多くの再エネ・省エネ事業に携わり、現在は再エネの導入支援・コンサルティングの会社を立ち上げられた南原順氏からは、国内外の市民出資による再エネ事業のお話がありました。長野県飯田市のおひさま進歩エネルギーの事例では、市民出資による再エネ事業と省エネ事業の両者を地元で立ち上げ、地元の燃料(チップ・ペレット等)や施工会社、工事会社、保守メンテ業者を使い、地元でお金が回るスキームにしたことが特徴だそうです。

また、欧州だけに留まらず、インドネシアやアフリカなどでも、農村エネルギー組合やNGOによる再エネ事業が数多く立ち上がり、技術者も育ってきているとのこと。インドネシアは、再エネの導入目標を2025年に23%以上、2050年に31%以上と決定しています。世界の再エネ事業の世界は、すでにボーダーレスに機能している実例などが報告されました。