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持続可能なまちづくり × エネルギー自立地域をめざす全国ネットワーク

10月25,26日「持続可能な発展を目指す自治体会議 第3回自治体相互視察 in 北栄町」を開催しました

2018年10月25日(木)~26日(金)、第3回目となる自治体相互視察は、クラブヴォーバンの自治体正会員の鳥取県・北栄町に今回はホストとなっていただき、下川町・ニセコ町・二戸市・葛巻町・雫石町・横瀬町、そして北栄町の担当の方やクラブヴォーバンの理事やコアメンバーなど、約25人の参加となりました。

 

北栄町は「風車・名探偵コナン・農業」の人口約1万5千人の鳥取県の真ん中に位置する町。25日正午過ぎに、コナン館すぐ隣の道の駅大栄に集合しランチバイキングの後、北栄町役場で町の概要や課題についての説明を受け、コナンのマイクロバスで視察場所へ。前日までお天気が悪かったそうですが、この日は快晴! 

 

最初の視察場所は、(株)エナテクスソーラーの太陽光発電所。町は、廃校跡地等の町有地を有効活用しつつ自然エネルギーを活かした産業復興を進めるために、FITを利用した太陽光発電事業を推進してきました。この発電所は町が公募をかけH24年に完成(出力750kW)。20年間町が町営地を貸与し、地元の若者も含め、雇用を生み出しています。また、地元の鳥取大学の自然エネルギーの実験や研究をする場としても、協力もしています。

 

次に同じくエナテクスグループの、全国で最大規模のソーラーシェアリング型(農業と太陽光発電を並立)太陽光発電所を視察(出力1,000kW)。太陽光パネルの下では「常緑キリンソウ」の苗や原木椎茸が栽培されていました。北栄町でも、農家の高齢化と後継者問題が深刻。農地の活用と収益化の課題解決のため、農地を農地として活用しながらも、太陽光発電の売電で収入を増やす事業として、H25年にスタートしました。特許を取っている常緑キリンソウは、乾燥にも雨にも強く、緑化のための植物として全国から注目されています。

 次に訪れたのは、(株)北栄ドリーム農場。北栄町では、新たな産物の開発、新規就農者の拡大を目指し、イチゴの産地化を進める農業法人として、H28年、町とJA鳥取中央が出資して設立。現在、約70aの圃場で「べにほっぺ」などのイチゴの栽培・育苗を行い、市場や直売所のほか、全国展開している大手洋菓子メーカーにも出荷。元々民間の遊休農地だった場所を活用、高設ベンチ式にしているため、腰をかがめる作業をなくすことで、作業者の労働環境と作業効率の向上につなげています。

次は、(合)チップリサイクル森の四季へ。この木材チップ工場は、元々学校教員をやっていた先生がリタイアしてH28年に設立。町の庭木や果樹園の剪定枝、街路樹、公園などから排出される伐採樹木を受け入れ、粉砕しチップ化しています(1日受け入れ2~10t)。石や釘などが混ざっていると粉砕機の故障の原因となるため、建築廃材などは受け入れません。製造されたチップは現在、必要とする町民の方へ無料で配布バイオマス燃料のほか、土壌改良剤などに利用されています。将来的には、町のバイオマスのチップの拠点となっていきたいとのことです。

最後の視察先は、H17年に完成した町の「顔」でもある町営の北条砂丘風力発電所(1,500kWの風車9基)。市町村直営の風力発電施設では日本最大規模です。日本海沿岸に並び経つ風車たちは、夕日を浴びてとても雄大でした。H29年度の売電電力量は2万MWh。中国電力への売電収益4.6億円のうち、メンテナンスや修理費、借金の返済などを拠出、残った収益の一部を町全体へ還元するため、H25年度から毎年度5千万円ずつ一般会計へ繰り出し、「風のまちづくり事業」を展開しています。

そして夜には町内のお店「610キッチン」を借り切って懇親会。正会員自治体でワイン製造を町として応援している葛巻町と北栄町からワインをご提供いただきました。もともと工場だったところを、とてもお洒落にリノベされている素敵なお店でした。

さて、2日目の研修は、クラブヴォーバンのPTメンバー(一社)地域政策デザインオフィス代表の田中信一郎氏による「これからの自治体職員に求められる能力」。

これまでの政策は、人口が増加し需要が供給より多い、ということを前提に作られてきた。しかし、人口減少、需要が減りモノが余る時代になった今、従来の政策の二大前提が逆転しているので、前例が通用しないどころか、前例を重んじると逆効果になりかねない時代となっている。眼前にある課題と考察から出発し、根拠と論理に基づいて解決策を組み立てる必要がある。その上での自治体職員のあるべき姿、一人ひとりの実力が求められる能力として、これからは、この持続会のようなネットワークを活かした、課題解決型の人材であることが大事であることが述べられ、自治体の課題解決の政策的な考え方として、6つの手法があることが、具体例とともに提示されました。

次に、代表の村上によるワークショップは、田中さんの講義の内容を踏まえた上で、今北栄町の課題となっている、町営の風力発電所の数年後に迫る更新について、いくつかのグループに分かれ、上記6つの手法を使ってアイデアを出しあい、発表をしました。

風力発電所に限らず、会員自治体それぞれに公共建築物なども含め、いろいろな公共施設の更新の時期を迎えています。限られた財政の中、どのような解決策が町民や市民にとってベストなのか。今後の持続会でも、引き続き議論・サポートしていきたいと思います。