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エネルギー自立地域経済好循環 × イノベーション 
                 持続可能なまちづくり

カテゴリ:jizokukai


2024/02/28
前回は、第7回目の持続会正会員自治体相互視察を兼ねて、北海道下川町で「人口減少と移住・農村の暮らしのインフラ」をテーマに持続会を東京とオンラインで開催しました。下川町は、町の面積の約9割を占める地域資源の森林を最大限・最大効率に活用することを掲げています。循環型森林経営を基軸として、森林総合産業の構築、超高齢化社会にも対応した新たな社会システムの構築、森林バイオマスなどの再生可能エネルギーを活用した地域エネルギーの完全自給と脱炭素社会構築をも目指し、「持続可能な地域社会(森林未来都市)の実現」に向けた取り組みを進めています。また、全産業の共通課題となっている人材不足に対応するため、下川町産業活性化支援機構を立ち上げ、毎年約30人(総人口の1%)が移住し、2016年以降は、20代から40代までの年齢階層では転入超過傾向にあります。 今回は前回に続き「移住と住宅インフラ」がテーマ。自治体の皆さんには課題として「将来の世帯数」「住宅ストック数」を調査していただき、将来の世帯数に対し住宅ストック数が足りるかの予測について発表がありました。少子高齢化と核家族化が進み一世帯あたりの人数は減少しているので、世帯数は人口減少の速度に比例せず将来大きくは減りません。一方、全国で移住先として人気のある自治体では、年々一定数の移住者が流入し状態のよい空き家は既に不足しつつあります。せっかく町で移住促進をしたり仕事を創出したりしても、域内に住める手ごろな住宅がなければ若い人たちも住めず移住者も入ってきようがありません。代表の村上と、田中信一郎氏からは、自治体において脱炭素化を加速させながら、域内の全ての人が安心して暮らせ移住者も増やしていけるまちを実現するために、全国での事例共有や、自治体・自治体職員として何ができるかについてのレクがありました。
2024/02/28
前回は代表の村上より、CVの基本的な考え方である「kWh=¥」のおさらいと、昨今の各エネルギー価格の高騰の背景や今後の見通し、自治体において率先して行うべき省エネ対策、脱炭素先行地域の選考状況についてなど話題提供がありました。将来的にまちのコンパクト化や住んでいる人のある程度の利便性・快適性考える場合に、高性能・脱炭素型の集合住宅(できれば賃貸住宅)が今後必須となります。これまで公共からの住居に対する補助は、個人の持ち家か、持ち家が持てない人には公営住宅、という2本立ての支援でしたが、今後は民間賃貸住宅などへの公共の支援も必要になってくるとして、いくつかの事例が共有されました。
2023/11/17
2023年10月、第7回目となる自治体相互視察は、クラブヴォーバン自治体正会員の北海道下川町で開催されました。2015年、第一回目のクラブヴォーバン自治体相互視察で下川町を訪問し、今回2巡目の訪問となりました。今回は正会員自治体のニセコ町、二戸市、北栄町とクラブヴォーバンスタッフで訪問し、下川町職員の方あわせて約25名の参加でした。...
2023/02/09
前回は、第6回目の持続会正会員自治体相互視察を兼ねて、岩手県の二戸市で持続会を開催させていただきました。国の動きより先駆け平成27年より始まった、二戸市における省エネ高性能住宅「二戸型住宅」の取り組みや、官民連携による温泉・宿泊施設再興の「カダルテラス金田一」の事例についてお話を伺いました。また代表の村上より、2022年2月に始まったばかりの環境省による「脱炭素先行地域」の内容や選定のポイントや、環境省から温暖化対策区域施策編などの策定にとても役立つ、最近できたツールの概要紹介と使い方などのレクがありました。国もどんどん進化しているので、本当に便利なこれらのツールを活用して、ぜひ自らの自治体の脱炭素の実行計画に役立ててほしい、とのことでした。 今回は、代表の村上より、CVの基本的な考え方である「kWh=¥」のおさらいと、昨今の各エネルギー価格の高騰の背景や今後の見通し、自治体において率先して行うべき省エネ対策、脱炭素先行地域の選考状況についてなど話題提供がありました。将来的にまちのコンパクト化や住んでいる人のある程度の利便性・快適性考える場合に、高性能・脱炭素型の集合住宅(できれば賃貸住宅)が今後必須となります。これまで公共からの住居に対する補助は、個人の持ち家か、持ち家が持てない人には公営住宅、という2本立ての支援でしたが、今後は民間賃貸住宅などへの公共の支援も必要になってくるとして、いくつかの事例が共有されました。
2022/11/17
2022年10月、第6回目となる自治体相互視察は、クラブヴォーバンの自治体正会員の岩手県二戸市が受け入れをしました。今回は正会員自治体の下川町、ニセコ町、葛巻町、横瀬町、北栄町とクラブヴォーバンスタッフで、25名ほどの参加でした。...
2022/11/17
前回は、クラブヴォーバン正会員の自治体の担当者の方々より、各自の自治体で新たに取り組んだ事例や課題、対処法の共有がありました。公共施設の再エネ化や省エネ化の取り組み、再エネによる乱開発の抑制、省エネ建築を促進するための条例づくり、超省エネ新庁舎の実際のエネルギー消費量計測報告、民間による風力発電開発やバイオガスプラントと公共との連携、空き家を活用した省エネ住宅促進のための補助金事業、公共施設個別施設計画策定や地球温暖化対策実行計画(事務事業編)の改訂、中学校の断熱改修、断熱ワークショップの動画作成と発信による省エネ改修の申請件数の増加、地球温暖化対策実行計画の推進新体制、来年度に向けた脱炭素ロードマップ策定(いわゆる区域施策編)の準備、次年度の「地球温暖化対策」を入れた予算編成、地熱発電における民間の地熱資源活用に関してなどでした。 今回は、第6回目の持続会正会員自治体相互視察を兼ねて、岩手県の二戸市で持続会を開催させていただきました。国の動きより先駆け平成27年より始まった、二戸市における省エネ高性能住宅「二戸型住宅」の取り組みや、官民連携による温泉・宿泊施設再興の「カダルテラス金田一」の事例についてお話を伺いました。また代表の村上より、今年2月に始まったばかりの環境省による「脱炭素先行地域」の内容や選定のポイントや、環境省から温暖化対策区域施策編などの策定にとても役立つ、最近できたツールの概要紹介と使い方などのレクがありました。国もどんどん進化しているので、本当に便利なこれらのツールを活用して、ぜひ自らの自治体の脱炭素の実行計画に役立ててほしい、とのことでした。
2022/02/28
2021年10月22日(金)、第5回目となる自治体相互視察では、クラブヴォーバンの自治体正会員の北海道のニセコ町を訪問しました。コロナ禍の影響もあり昨年は開催できず今回も開催は難しいと考えていましたが、片山町長からのお声がけもあり、ギリギリのタイミングでニセコ町にて現地開催することができました。今回は正会員自治体の下川町、二戸市、葛巻町、横瀬町の他、羊蹄山麓の蘭越町、真狩町、京極町、倶知安町、留寿都村からのご参加も合わせ、30人超の参加となりました。
2022/02/28
前回は、片山町長の呼びかけでニセコ町現地とオンラインにて持続会が開催され、クラブヴォーバン正会員自治体だけでなく、羊蹄山麓の5町村からも参加があり、現地にて視察も行われました。環境モデル都市・SDGs未来都市に選ばれたニセコ町の、CO2排出量を抑えた持続可能なまちづくりに向けての、新庁舎更新・公共施設の省エネ化・SDGs未来都市などの取り組みを中心に紹介がありました。 今回は、正会員の自治体がそれぞれ、自身の自治体におけるこれまでの気候温暖化対策、環境政策、公共施設の合理化などの現状について振り返りながら、自身の自治体における環境・温暖化・公共施設に関する動向で、この1年間で「新たに」生じた、取り組んだ、進んだ事柄・動き・施策・プロジェクトについて、発表を行いました。また各自治体の抱える課題や悩みに対し、専門家や参加自治体などから、アドバイスやヒントが共有されました。 =========================================== まず代表理事の早田より、おそらく内閣府だと思うが、脱炭素の先行地域の募集が始まっているので、全国の自治体の中で先行しているはずの皆さんもぜひ申し込みの準備をしてください、との開催の挨拶でした。代表の村上より、地域で何ができるか、その優先順位についてはこれまでここで十分行ってきたと思っているので、今後は皆さん自身の自治体で、環境や脱炭素、公共施設などインフラで、どういうことに取り組んでいるかについて、お互いに報告し合っていただきたい。それが他自治体さんへの刺激にもなり、こういうことを更に聞きたいというのであれば担当者の方と話ができる。担当者同士で悩みを共有し、その議論の中で、皆さんにとって、この部分はもっとインプットした方がいいと思うことがあれば、環境省や経産省や内閣府の担当の方や、その部分における専門家を招き、皆さんに情報をインプットしていこうと思っている、との話でした。 その後、正会員の自治体の担当者より、公共施設の再エネ化や省エネ化の取り組み、再エネによる乱開発の抑制をしたり省エネ建築を促進するための条例づくり、超省エネ新庁舎の実際のエネルギー消費量計測報告、民間による風力発電開発やバイオガスプラントと公共との連携、空き家を活用した省エネ住宅促進のための補助金事業、公共施設個別施設計画策定や地球温暖化対策実行計画(事務事業編)の改訂、中学校の断熱改修、断熱ワークショップの動画作成と発信による省エネ改修の申請件数の増加、地球温暖化対策実行計画の推進新体制、来年度に向けた脱炭素ロードマップ策定(いわゆる区域施策編)の準備、来年度の「地球温暖化対策」を入れた予算編成、地熱発電における民間の地熱資源活用に関しての課題と対処など各地のさまざまな事例とともに、課題や対処法などが共有されました。 また千葉商科大学基盤教育機構准教授の田中信一郎氏から、環境省の地域脱炭素に向けた動きについての情報共有がありました。国会で、地球温暖化対策推進法が改正され、これまで策定義務がなかった小規模市町村においても、地球温暖化対策の地方公共団体実行計画の区域施策編、いわゆる地域全体の脱炭素の計画を策定することが、努力義務になりました。それをどういう風に作ればいいのかという助言を、国から各自治体に対して行うということになり、小規模自治体においても使えるマニュアルにしようということで田中氏も委員として取り組みました。 脱炭素のために何でもやってください、というよりも、むしろ脱炭素を手法として、地域の活性化や地域の課題解決をメインでやってください、という考え方が強く打ち出されています。でも小さな自治体では温暖化対策の区域施策編を単独で作るのが難しいでしょうから、総合計画やほかの計画と合体させて温暖化対策の性格を持たせてもいいということにしました。CO2の排出量の調査をやるというよりは、小さくてもいいので具体的な施策を1つでも2つでもいいのでやって、まずは正しい方向でしっかり成功事例を作り積み重ねていきましょう、ということになっています。そして、これらの事例の一部に、クラブヴォーバン持続会正会員のニセコ町や北栄町の取り組み事例が紹介される予定、とのことです。クラブヴォーバンがこれまで持続会でやってきた考え方がほぼそのまま、国から自治体にやってください、という方針になるようです。
2022/02/28
前回は、住宅の省エネについての現状と今後の展開について、埼玉県横瀬町から取り組みの発表と悩みの共有があり、クラブヴォーバン(CV)のメンバーやオブザーバーの省庁関係、地域電力、大学や研究所などの専門家の方々から、補助金など制度設計についてのアドバイスや意見の交換がありました。今回は、北海道ニセコ町の高気密高断熱の新庁舎が5月に完成したこともあり、急遽片山町長の呼びかけでニセコ町現地とオンラインにて持続会が開催され、クラブヴォーバン正会員自治体だけでなく、羊蹄山麓の5町村からも参加がありました。 また翌日には、現地にて視察も行われました。環境モデル都市・SDGs未来都市に選ばれ、2020年には気候事態宣言も出したニセコ町にとって、町の脱炭素は急務の課題です。今回は、ニセコの超省エネの新庁舎建設やSDGsモデル街区開発の取り組みを通して、CO2排出量を抑えた持続可能なまちづくりのために、地域で取り組みやすく効果が高い政策、また公共施設更新で高性能な建築を考える場合に、将来的な設備更新についても考慮し、基本的に押さえるべきポイントなどをインプットしました。 =========================================== 今回ニセコ町の片山町長より「持続可能な発展を目指す自治体会議 ようこそSDGs未来都市ニセコ町へ」について。ニセコ町のこれまでの民主主義や住民参加と情報共有によるまちづくりの取り組みの事例として、まちづくり町民講座や、人気施設となった道の駅や町の図書館、日本初の自治基本条例となる「ニセコ町まちづくり基本条例」があり、これらの20年に及ぶ政策が2013年には環境モデル都市に、2018年にはSDGs未来都市に、国より選定されたことにつながったとのこと。2020年には気候非常事態宣言・ゼロカーボン宣言を行い、環境基本条例の改正や、再エネ条例、自転車条例制定などを実施、温室効果ガスの排出量を2015年比で2050年までに86%削減、2050年温室効果ガス排出量実質ゼロを掲げ、取り組み中。CVとの付き合いは、代表の村上の著作を読み、いいことがたくさん書かれているなと感心して始まった。その中に、「日本からドイツのヴォーバンの取り組みを視察に来た人は、素晴らしい取り組みだが日本は法律など状況が違うからできない、と言い訳して皆何もしない」のような下りがあったので、皆がやらないならば、ニセコ町がやってやろう、と思った(笑)とのこと。CVと2015年「持続可能な発展を目指す自治体会議」を一緒に設立し取り組みを進めているとして、町長が付箋をたくさん貼られた村上の「キロワットアワー・イズ・マネー」の本を、会場で回覧していただきました。 次にCV代表の村上から、「新しい段階に突入した気候非常事態と小規模自治体で実施すべきこと」について。脱炭素社会に向けて、世界の経済界ではどんどんゲームチェンジが進んでいます。ドイツでは日本の311後を受けて再エネ投資が急速に進み、2020年の電力消費量に対して、再エネ発電の割合は45%に!ちなみにドイツの再エネ電力は、大手エネルギー会社によるものは3割程度で、32%が市民、11%が農家、24%が地域の中小企業の出資によって運営されています。つまり、再エネによる利益の約7割は、地域に配分されています。高断熱・高気密の省エネ建築も進み、現在はUa値0.3W/㎡K以下、C値0.2cm2/m2以下の高断熱・高気密の建物でないと、ドイツでは新築することができません。日射遮蔽対策や、樹脂か木製サッシのトリプルガラスは必須・標準となっています。 ドイツでは建物エネルギー法が施行、すべての暖冷房する建物を対象として、2021年以降に建築確認を申請するすべての建物はnZEH、nZEBとなり、既存建物に対しても、高断熱・高気密への改修が進んでいます。自家用車の販売はEV車に完全にシフト。電力の需要/供給のバランスの柔軟性の追求により、皆が一斉に暖冷房せず、一斉にEVに充電しないインフラができた上で、再エネで余った電力を交通でEV車や鉄道に使ったり、熱にしてヒートポンプや電熱線に使うなど、セクターカップリングを行っていく必要があります。例えば、人口5千人、世帯数2200のA町において、1世帯あたりの年間エネルギー支出を30万円とすると、ざっと毎年15億円ものお金が域外に流出していることになりますので、このうちの一部でも域内に循環させるために、各地域で、省エネ・高効率化・再エネを絶対的に推進する必要があります。皆さんの自治体でもぜひ取り組んでください、とのことでした。 次に、ニセコ町都市建設課課長の黒瀧氏より、「公共施設で飛びぬけた断熱性能を創る~ニセコ町庁舎のご紹介」について。2011年の震災時以来始まった、防災を含めた、新庁舎をどうするかという議論について、町長・議員・町民・町民などあらゆるステークホルダーとの間で丁寧な話し合いを重ねてきた経緯が語られました。5月にスタートした新庁舎の円形の議会室は、年に4回の議会以外は町民のイベントで使えるようにし、2回の羊蹄山やアンヌプリなど山々の見える眺望のよい空間は、フリースペースということで町民に開放されています。地元の木材や、地元の方が作った机や椅子などを極力使い、窓はアルゴンガス入りトリプルガラスの白樺の集成材を使った木枠、外断熱は北海道の通常の2倍以上の23.5㎝の断熱材を使い、躯体外皮性能0.18W/㎡Kを実現し、全国の庁舎でもトップレベルのかなり高性能の躯体となり、夏も冬も最小限の光熱費で職員・町民が快適に過ごせる庁舎となりました。 次に、株式会社ニセコまち 事業推進室長の宮坂氏より「SDGs未来都市の取り組み~NISEKO生活モデル地区構築事業の進捗」について。ニセコ町が2018年に「SDGs未来都市」に選定され、その中核事業になるのが、NISEKO生活モデル地区構築事業で、その事業に携わっています。経済の面では地域内経済循環を促進、社会の面ではコミュニティの活性化、環境の面では省エネ・再エネに取り組むこと。ニセコ町では2000年頃から移住者が増え、核家族化も進み世帯数が急増しており、住宅不足がひっ迫した地域課題です。また、20~30年前に町内に大きい家を建てたが、子どもが独立して夫婦二人だけとなりメンテナンスが大変など、住宅の需要のミスマッチも課題であり、住み替えができる形での分譲・賃貸の集合住宅の供給が必要になっています。9haの用地に、将来的に400~500人が居住できる街区を10年かけて段階的に開発していきます。建設時において、通常の街区開発よりCO2排出量を半減、2040~2050年には街区からのCO2排出量がゼロになっていくような街区開発を行っていきたい。具体策としては、世界的にも通用するような高気密・高断熱の集合住宅を建設していきます。それに加え、電気自動車のシェアカーや、太陽光パネルの導入なども考えており、エネルギー部門に強い民間企業などと、包括連携協定を結び、CO2削減について深堀り検討しています。 次に、CV代表理事の早田より、「これからの小規模自治体における住宅インフラ~高性能集合住宅」について。早田は2007年から一般社団法人クラブヴォーバンを始めました。2012年、ウェルネストホームという住宅メーカーを創業、ドイツの村上から教えてもらったノウハウを、日本の気象条件に実際に合わせてカスタマイズし、主に戸建て住宅を販売、設計、施工しています。今関東では大体Ua値0.8W/㎡K、北海道は0.46W/㎡Kが省エネ建築の基準なので、関東よりは約2倍の厳しい性能が求められる。だが、私のつくっている住宅は、全国で0.2~0.23W/㎡K。この数値は、ヨーロッパのスタンダードです。ニセコ町の新庁舎0.18W/㎡・Kというのは、日本最高の省エネ庁舎だと思う。今(10月下旬)外がかなり寒くなってきたが、まだ暖房は入っていないそうです。再エネと省エネは、両輪、セットです。 SDGs街区で、なぜ高性能集合住宅か? 戸建住宅を複数建てて外皮面積が多いと、外気に接する面積が大きくなるため、熱効率が悪くなります。集合住宅を活用した街区では平均的な戸建て住宅に比べて約2.5分の1の面積で済みます。北海道では、一般住宅の暖房の熱源はほぼ灯油。1L灯油を燃やすと、CO2が2.3kgも発生します。上下水道の距離も短くなるし、コンパクトなまちづくりをする利点は他にもたくさんあります。その集合住宅のモデルとなる1、2階各4戸、8世帯の高気密高断熱の集合アパートが、2020年12月に完成。このアパートに翌3月から計測システムを入れ常時管理していますが、関東の冬と同じくらいの寒さのニセコ町の3月で、上下階計4台の共用エアコンのみで各戸の室内は常時22℃±1℃で推移(角部屋を除く)。この期間、1戸あたり暖房費が50円/日でした。外皮性能のしっかりした家だと、真夏にエアコンの設定温度を24℃にしても、わずかな電気代で快適に過ごせ、仕事の生産性も上がります。集合住宅での騒音の問題も、横だけでなく上下の騒音にも配慮して建築し、木造住宅で日本最高レベルの防音性能を出しました。 市街地に高性能の集合住宅を少しずつでも建てて、そこに大きい一軒家で住んでる高齢者が、快適に住めるからと賃貸で引っ越し、空いた家を断熱改修して若い大家族に貸し出す。これを、ヨーロッパでは国の取り組みとしてやっています。それで海外から買う化石燃料を減らし、その分でまた高性能住宅を建てています。日本では国全体でやるのは難しいかもしれないが、ここにいる皆さんの自治体では、少しずつでもこういう方向性でチャレンジしてください、とのことでした。 最後に、対談形式「ここ10年間が正念場。公共や建物のインフラでできること」(司会:村上 登壇者:ニセコ町/山本副町長・黒瀧課長・CV/早田・(株)ニセコまち/宮坂)と質疑応答がありました。ニセコ町では、高気密高断熱の庁舎ができ街区で高性能の集合住宅を作ろうとしているが、さらに今新しい条例を作ろうとしています。新築で家を建てる人には、家を建てる前に燃費性能を確認し、役場に届け出をしなくてはいけない、ということを今後実施していくそうです。断熱材や気密性能、躯体の強度や窓ガラスは、いったん作ってしまうとその後使う60年間はランニングコストがかからないので、そこにまず手を付け、設備が少なければ少ないほど、その後のメンテナンスコストも少なくて済みます。ZEBに飛びつけば補助金を頂けるのかもしれないが、それが本当に自分たちの身の丈に合っているのか?が重要ということをクラブヴォーバンから学び、二セコ町は、最初はZEBと言っていたが、最後はZEBにこだわらなかった、とのことでした。過大な設備を最初から付けなければ、設備更新時に、補助金のない中での更新の心配をしなくて済みます。
2021/09/01
2021年8月号の東京新聞「月刊SDGs」の連載にて、「11. 住み続けられるまちづくりを」の事例として、クラブヴォーバンの「持続可能な発展を目指す自治体会議(通称:持続会)の取組みが紹介されました。 《東京新聞サイトへのリンク》 https://www.tokyo-np.co.jp/article/127358

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