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エネルギー自立地域経済好循環 × イノベーション 
                 持続可能なまちづくり

5月17日PJ100セミナー「金融と計測からの日本の脱炭素戦略」を開催しました

代表の村上より、「金融と計測からの日本の脱炭素戦略」についてのレクチャーとディスカッションでした。 

   

皆さんは、「CDPスコア」と言われて、ピンときますか? それでは「TCFD」とは?「GHGプロトコル」の「スコープ3」とは? 

 

 PJ100セミナーにおいては、これまで「持続可能なまちづくり」について情報共有をしてきましたが、今回は、これらの指標やこの潮流が将来、地域における脱炭素の取組みに、どのようなインパクトがあるかについて議論しました。

 

とりわけ日本の金融市場で、一年ほど前から企業活動における脱炭素に関わる激変が起こっています。これまでの企業のCSR活動などの環境の取り組みとも一線を画す、大きな潮流ができつつあります。金融や上場企業の世界では、これらの脱炭素に関わる指標は、経営を評価する非常に重要な事柄として、注目されるようになってきています。

 

まずは皆さん、「株価□○○社」とGoogleなどで検索してみましょう。「CDPスコア」という項目が表示されており、AやB、何も書かれていない会社などがあります。「CDPスコア」は、大手企業においては、「時価総額」などと並んで、企業を評価するための一つの指標としてすでに機能しています。また、新聞でも取り上げられていますが、自社の企業活動におけるCO2の排出量を独自に社内で1トンあたりいくら、という費用として「社内炭素価格(ICP)」を導入する動きが、国内の企業でも広がりつつあります。

 

「CDP」は、元々は「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト」の略で、英国の非政府組織(NGO)が評価を行っています。2000年の発足以降、世界の大企業などに質問状を毎年送付し、自身の会社経営の環境へのインパクトを、CDPスコアを使って評価してもらい、それを開示しています。それが、パリ協定以降、とりわけ注目されるようになりました。それを開示することで、その企業の経営がより気候変動に対応したものに変化してゆくことが期待されています。また、それを公開することより、世界の投資家からのESG投資を呼び込めることも期待されています。

 

国内企業の環境に関する開示情報が、統一したフォーマットでまとめて掲載されている「エコノート」という優れたサイトができています。ここに、GHGプロトコル(温室効果ガスの排出量を算定・報告する際の国際的な基準)のスコープ計算と開示をどこまでやっているかとか、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同しているかどうかやその中身、CDPのスコア、SBT、RE100、FTSEなどなど、その他もろもろの環境や気候変動に関する指標への各企業の評価を確認することができますので、ぜひご活用ください。 https://www.econote.jp/abouts/

 

また、これまでCDPの質問状の送付先は500社だったものが、東京の株式市場がプライム市場に変わり、その1839社全てに送られる流れに今後なっていくようです。

 

世界経済フォーラム(タボス)会議で議論されている、今後10年間で最も影響が大きいグローバルリスクとして、しばらく前までは所得格差やサイバー攻撃やテロ、といった問題が主に注目されていたのが、近年では気候変動に関わるものが大きくクローズアップされています。

 

レクチャーでは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やGHGプロトコルにおけるスコープ1、2、3などについて説明した後、これらの指標の活用による、今後の世界・国内の金融市場や社会システム、国内のビジネス、私たちの暮らしの大きな変化について、今後の見通しの解説がありました。2050年には、カーボンゼロが当たり前の世の中になるような制度設計がはじまっています。大手企業のみならず、数年後には中小企業や、私たちの普段の消費活動などにおいても、こうした制度による影響が出始めますから、その流れに取り残されないよう、情報収集を続けていく必要があります。

 

次に、クラブヴォーバンが現在取り組んでいる、SDGs未来都市ニセコでのまちづくりの進捗について情報共有がありました。これまでもこのPJ100セミナーで情報共有してきた「NISEKO生活・モデル地区構想」の街区の名称が、公募により「ニセコミライ」に決定しました。

 

街区自体の造成や建築を進めつつ、さまざまなニーズがある居住者の人たちの快適な暮らしをデザインし、建物のエネルギー自動管理(集合住宅用HEMS)、居住管理(ごみの出し方、自治会や管理組合からのお知らせなど)、住民交流(シェアリングエコノミーや地域通貨など)を一元管理するマネジメントシステム、「都市OS」も、入居が始まる2023年後半に向けて平行して開発を進めています。その内容について、紹介がありました。

 

また、CVも出資している(株)ニセコまちは、北海道電力や旭化成ホームズ、waiwai一級設計事務所、WELLNEST HOME(代表理事の早田の創業した超高性能住宅メーカー)などと連携協定を締結し、他の企業とも連携の協議を進めています。連携協定により、この街区やニセコ町内の地域課題に対する解決を目指していきます。