持続可能な発展を目指す自治体会議

2017年

8月

07日

環境省内で6月26日「特別篇・持続可能な発展を目指す自治体会議@環境省」を開催しました

 

昨年12月の持続会に参加された森本氏(当時 環境省大臣官房長・現 事務次官)からのご提案もあり、今回は持続会を環境省内で開催させていただきました。

 

持続会自治体会員の皆さまと進めてきた取り組みである「地域経済好循環」モデルの事業について、環境省の職員の方々に発表し、意見交換を行いました。環境省からは、地球環境審議官や大臣官房長、課長や課長補佐、室長など多くの方々が参加され、交流の場としてもよい機会となりました。

 

 

第一部の特別講座、まずは代表の村上より「“kWh=¥”のコンセプトで活動する持続会について」 。ドイツで2010年に策定されたエネルギーシフトの目標値は、一次エネルギー供給量を2050年までに半減することとし、省エネと再エネはセットで進められています。そのためドイツでは、温室効果ガス排出の削減をしながら、かつGDPも成長する経済活動が行われていますが、日本では残念ながらその2つが連動してしまっています。


持続会では、温室効果ガス排出を削減しながらかつ域内GDPを増加させるための「地域経済好循環モデル」の構築を目指し、1)省エネ建築 2)建物設備 3)家電 に取り組んでいます。会員自治体ですでにこれらを実装した「結果」や実装しようとしている「検討」において、簡易モデルを作ってみて中身を共有し、その後新しい実装に向けて検討するために、域内GDPの基本的な考え方として前提となる数値等を設定して持続会で共有し、それを基に計算しました。今日は環境省の職員さんに向けて、自治体の担当者の方々にその発表をしていただく、との内容でした。

 

 

次に、下川町環境未来都市推進課の蓑島氏より「“地域経済好循環モデル”構築の背景と小規模自治体間アライアンスの意義」について。日本全体が人口減少社会へ向かう中、今後人口は東京圏へ一極集中、地方地域は大幅減が予測されます。地方の小規模農山漁村地域が持続的に発展し続けるためには、人口減少の局面を迎えても、域内の総合資産に目を向け、それを有効活用し域内で価値創造することで「持続可能な地域社会」を構築することが重要。一方、小規模自治体は、専門知識を有する人材が少なく、地域資源を活かした環境・エネルギー分野等の取組と経済好循環化を有機的に結びつける知識・技術・ノウハウが乏しいことが共通の課題でもあります。各自治体が培ってきたノウハウを共有し連携をするとともに、専門的知識を有する(一社)クラブヴォーバンと連携し取り組むことで、さらなる進化を遂げ実現を目指しています

 

参加自治体の地域経済循環率は、下川町の46.1%~二戸市の87.2%。漏れるバケツのように地域外に流出しているこのお金の、漏れを塞ぎ循環率をUPさせることを目的として、H27年度に、経済(農林業等)×環境(再エネ・省エネ等)×社会(少子高齢化等)の好循環化により「持続可能な地域社会」を実現することを目的に、「持続可能な発展を目指す自治体会議」を設立しました。H28年度は「地域経済好循環化政策の社会実装」、H29年度は、実装に向けた深化、新たな分野での見える化(交通・通信データ)に取り組んでいます、とのこと。

 

 

次に、環境省大臣官房長の森本氏から、「環境から拓く、経済・社会のイノベーション」として、環境省の現在の取り組みについて。環境省としては、環境政策の展開による社会経済の課題解決を、地域レベルで実践する支援をしたい。経済・社会課題が深刻化・複雑化する現在においては、環境政策の展開にあたって、経済・社会課題の解決も同時解決できる効果をもたらせるような政策を発想・構築することが重要です。そのために地域と環境省のパートナーシップが目指す方向性は 1)同時解決 2)持続可能な開発目標(SDGs) 3)パリ協定の発効 3つのキーワードをもとに、地域でいくつかの解決事例紹介がありました。

 

クラブヴォーバンの会員自治体は、いずれも小規模な自治体で、人口減少や高齢化などの地域課題が、都市よりも早く顕在化・深刻化してきた課題先進地であるが、一方、再エネをはじめとした豊かな地域資源を持つ強みがあるため、「環境から拓く、経済・社会のイノベーション」の先進地となるポテンシャルもあります。地域レベルで、環境政策を通して地域課題を克服するノウハウやヒントを、“小規模自治体から学ぶ”のが地域づくりの大きなトレンドの1つとなると考えられます。地域レベルの取り組みの深化のために環境省の持つ政策ツールを、共創し使いこなすという視点から、地域と環境省とのパートナーシップを捉え、会員自治体をはじめとした地域と環境省とのパートナーシップをさらに深化させたい、とのことでした。

 

 

本会議では、「地域経済好循環モデル」策定の報告と会員自治体の取り組みについての発表がありました。鳥取県北栄町住民生活課、藤江氏から「町内のLED灯への入れ替え事業の評価について」、北海道下川町保健福祉課、仲埜氏から「冷蔵庫の入れ替え事業OR省エネ新築の助成事業の評価について」、岩手県二戸市 総務政策部政策推進課、五日市氏から「二戸市型超省エネ住宅新築の助成事業の検討について」、北海道ニセコ町建設課都市計画課、金澤氏から「住宅省エネ改修事業の評価について」。それぞれの自治体より、モデル計算に従い、補助金をどの事業にいくら投入することにより、○年後にどれくらいのコスト削減と域内GDPが上昇する、という数値とともに、ユニークな取り組みについて発表いただきました。

 

これまでは行政が、例えば100万円の助成措置を行う場合に、数年先まで見てこれまではどれくらいが地域GDPとして循環するかということを考えないまま感覚的に行ってきました。この「域内経済好循環モデル」構築の狙いとしては、町が助成措置を行ったときに、同じ予算の中でどこに優先的に振り分けたらいいのかというのを、なんらかのプロジェクトの後に簡易的に検証できるツールがほしい、ということで、この持続会でモデルの構築をやってきました。今後後少子高齢化が加速するほとんどの自治体において、町のお金は有限なので、限られたお金の中で、その町にとって地域経済の中で最も有効だと思われる対策に、お金を振り向けていく必要があります。行政の担当者が日常業務の中で使えるものとして簡易的なモデルを構築しましたが、もし環境省さんからこのモデルを使ってほしいというような提示があれば、今後自治体の方々もやりやすいのではないか、との意見が出ました。

 

 

また村上からドイツの事例として、①電気温水器 ②古い冷蔵庫 ③シングルガラスとアルミサッシ この3つについては「あってはいけないもの」なので、ドイツの環境省でも、低所得者向けの福祉事業として、冷蔵庫の買い替えにおける助成措置を行ったり、ドイツのプロテスタント教会でも、スポンサーを集め、失業者やシングルマザーなどの貧困層を優先的に回り、「うちエコ診断」事業を実施したりしているとのこと。貧困層からまず、この3つへの対策をしていく必要がある、との提案がありました。

 

また参加者から、「省エネ住宅の新築や改修は、住民がどれくらい知っているかでニーズが決まってくるが、『省エネ住宅は、エネルギー削減だけではなく、快適性や健康にいい』という知識を住民が知らないので、“クールチョイス”されない。環境省でクールチョイスを普及する補助金がある。子どもたちへの環境啓発もいいが、大人向けにこういう省エネ住宅の啓発事業も環境省に応援していただきたい」との意見も出ました。

 

最後に地球環境審議官の梶原氏から、「環境対策を進めていくための判断基準をしていくために、今日は貴重なフロンティアの事業をいくつも聞かせていただき非常に勉強になった。日本の省エネ住宅の基準が低いという話は、言っていった方がいい。こういう議論は、我々にとっても絶対にプラスになるので、今後もぜひ続けさせていただきたい」との締めくくりの言葉をいただきました。

 

続きを読む 0 コメント

2017年

3月

03日

「域内経済循環モデル」事業の具体化に向けて、「第5回・持続可能な発展を目指す自治体会議」を開催しました

 

 

北海道下川町・ニセコ町、岩手県二戸市・葛巻町、鳥取県北栄町、熊本県小国町の6自治体が集まり、2017年1月の持続会定例会が行われました。今回の定例会では、エネルギー部門の次の新しい一手として、交通部門における地域経済循環「キロメートル・イズ・マネー」の考え方のほか、省エネ住宅や家電省エネの必要性についての再確認を行いました。また、「課題解決型自治体アライアンス事業」の一環として、持続会では「域内経済好循環モデル」の構築作業が続けられています。策定中の「モデル」についてのディスカッションにも多くの時間を割きました。

 

今回は、上記6自治体のほか、来年度会員として参加が決まった岩手県雫石町と埼玉県横瀬町のほかに、茨城県大子町と岡山県西粟倉村からも参加がありました。

 

一社クラブヴォーバン(CV)が主宰する持続会が発足して約2年、これまで「kWh=\」として、域内の再エネによるエネルギー創出・省エネによって、地域の雇用創出と経済循環について提唱し、会員自治体の取り組みを進めてきました。


第一部の特別講座では、次の新しい一手としてCV代表の村上から、ドイツや欧州の交通政策の先進事例から、「『km=¥』~次の一手である交通での対策について~」のレクチャーがありました。人口1万人規模の小規模自治体においても、ざっと自動車関連支出(車体・修理・維持整備・保険・燃料)の総額は毎年60 億円レベルになります。そのうち、域内で循環するのは半分以下、つまり年間に30 億円以上は域外へ流出しています。今後日本で少子高齢化が進み、自動車の運転ができなくなる高齢者が急増することも鑑み、自転車交通や徒歩交通のインフラを整備し、自動車に依存しないまちづくりの実現と雇用の創出について、欧州の自治体の先進事例が紹介されました。


次に「再エネ、省エネを推進する意味、意義の再確認」として、再エネや省エネが、国民の意識としてどんどん進められるドイツと、まだまだ取り組みが道半ばの日本と、何が違うのか?を村上が紹介。ドイツで「なぜ再生可能エネルギー・省エネルギーの推進に努めているのか?」と聞くと、76%の国民が「子どもや孫たちの安全な未来に貢献するため」と回答しますが、日本ではそうではありません。


この考え方のベースとして、今の時点から考えてできることを、PDCAサイクルを繰り返しカイゼンしていく帰納的な考え方の日本人と、数十年先の未来を見据え究極的な目的を定義した上で、自分のできる枠組みを決めて目的に向かって行動する演繹的な考え方のドイツ人との違いについて説明がありました。

 

本会議では、CV理事の中谷から「『域内経済好循環モデル』を念頭とした省エネ設備の普及について~なんでも『kWh=\』で計算してみよう~」についてレクチャー。家電での省エネの例として、家庭にある電気ポットを電気ケトルに国民全員が替えたら、原発1.3基分、トイレの暖房便座のスイッチを国民全員が切るだけで原発2基分の電力が削減できる、などの試算が紹介されました。また、家の躯体を省エネ改修した際のビフォー・アフターのエネルギー計算だけでなく、家電を入れ替えした際のビフォー・アフターの電力消費量の計算も、すべて「エネルギーパス」のソフトウェアで可能で、その実例が紹介されました。また、エアコンなど暖房に関わる家電は、躯体を断熱改修してから更新しないと、(その暖房器具自体が過剰となって)意味がなくなることもあるので注意が必要です。

 

次に代表理事の早田から、「『kWh=¥』と『経済好循環モデル』を念頭にした省エネ建築の推進」 についてのレクチャー。木造やRC造の住宅の断熱改修事例のほか、室温が低い住宅に住むことによる健康リスクについてのインプットがありました。「断熱改修すれば何年で元を取れるか」という計算をする時に、光熱費だけで考えれば29年だが、病気になって支払う医療費と社会コストまで考慮すると11年で元が取れる計算になる根拠についても詳しく紹介がありました。

 

今回の会員自治体の取組紹介では、熊本県小国町から「地熱とバイオマスを活かした農林業タウン構想」のプレゼンがありました。北里柴三郎の出身地でもあり人材育成に力を入れているという町の特色や、地熱と森林資源を活かした地域復興についての取組を紹介されました。また町と地元の6団体で、新電力会社「ネイチャーエネジー小国」を2016年8月に設立したとのことです。町の森林組合が制作した町のPR動画「スギオとリサ」の放映もあり、参加者の皆さんから好評でした。

 

最後に「域内経済好循環モデル」の構築の検討会では、会員自治体と進めているモデルについて、3月末の完成を目指して自治体ごとに意見交換が行われました。自治体によって、気候条件や既存住宅ストックの広さや断熱の基準などが違うため、クラブヴォーバンではそれぞれの自治体に合う形での計算モデルを提供することにしています。参加自治体が域内で省エネに取り組み、今回できた計算モデルを有効活用して「省エネの見える化」を来年度どのように進めていくか。また、その後の状況をこの自治体連携で共有し、より最適な制度へと進化させてゆくのか、来年度の活動内容についても整理されました。

 

0 コメント

2017年

1月

13日

環境大臣官房長をお招きし、12月12日「特別篇・持続可能な発展を目指す自治体会議」を開催しました

 

2015年12月に開催した特別篇・持続可能な発展を目指す自治体会議(以下持続会)は、省庁連携会議ということで、内閣府・経産省・農水省・環境省にお越しいただき、各省の予算措置の説明と自治体からの意見を議論する主旨で開催しました。

 

2016年12月の持続会では、環境省の森本大臣官房長にお越しいただき、環境省の予算措置の目的、意義についてご説明いただくとともに、自治体からの意見を発表し、深く議論する場を設けました。また、持続会で「域内経済好循環モデル」を2017年3月までに構築していくにあたり、各自治体とディスカッションを行いました。

今回は、会員自治体の下川町・ニセコ町、岩手県二戸市、鳥取県北栄町+熊本県小国町からの参加に加え、来年度会員自治体に入会を希望する岩手県雫石町が参加されました。

 

第一部の特別講座では、東京大学先端科学技術研究センター 特任研究員、谷口信雄氏より、「国の政策、助成、促進プログラムとの付き合い方」について。環境省・林野庁事業で、国が自治体や企業に対する委託研究や補助事業等の審査員、地域に根ざした再エネ事業の補助申請の委員やアドバイザーを務めている立場から、何を目的として、どのような枠組みで事業を実施するのかのポイントについてレクチャーいただきました。

 

次に代表の村上敦から、「『kWh=¥』で稼いだお金の回し方〜ドイツでの組合出資型の事例」 について。ドイツの都市部や農村部で、省エネ+再エネの推進によって域内が潤ったお金で、どのようにうまくお金を地域市民のために回しているか、という事例紹介がありました。

 

 

第二部の本会議の冒頭では、2016年10月に大きな震災の被害を受けた鳥取県北栄町の担当者より、震災後の対応、進展などについて報告を受けました。自治体会員の皆さんと相互視察で北栄町を訪ねる予定をしていた3日前にまさかの地震で、視察は直前にキャンセル。しかし、震度5強という大きな揺れにも関わらず、大きな人的被害がなかったことは、不幸中の幸いでした。

 

その後、代表の村上敦から「『kWh=¥』の考え方、地域経済を強化するための持続会の取り組み」について、この「持続会」が目指すところについて再確認を行いました。続いて、環境省大臣官房長の森本英香氏より、「次年度の環境省の施策と人口少数自治体の活躍について」。まちづくりに役立つことのために大事なことは「地域の資源(資産)に目を向けること」「ひとりひとりに出番があって、その人たちが活躍できるような形を作っていくこと」「少しでも人の役に立っているという想いを地域の人が持てるようにする」などの力強いコメント共に、環境省としては、近年は環境だけというのではなく、環境xエネルギー、環境x観光といった事例に注目し、事業を推進しているという説明を受けました。環境省が注目している地方の事例の紹介の後、参加者からのたくさんの質問や意見に対しても真摯に耳を傾け、非常に丁寧に回答されている森本氏の姿が印象的でした。

 

その後は、国の交付金を受け「課題解決型自治体アライアンス事業」として策定中の域内経済循環を測るためのモデル構築についてディスカッション。家電・設備・建築それぞれの分野で、各自治体がどのような省エネ+地域経済を回す取り組みを行っていきたいのか、どういうデータなら現実的に取れて、その効果が推し量れるのかについて、ヒアリングと意見交換を行いました。


クラブヴォーバンでは引き続き、域内経済好循環モデルの構築についての取組みの加速化や数値化・見える化の具体策を、会員自治体の皆さんと共に考え、全力で支援していきます。

 

 

続きを読む 0 コメント

2016年

11月

14日

10月20日東京国際フォーラムにて「第4回持続可能な発展を目指す自治体会議」を開催しました

北海道下川町・ニセコ町、岩手県二戸市・葛巻町、鳥取県北栄町、熊本県小国町の6自治体で、「課題解決型自治体アライアンス事業」モデルとして国の加速化交付金を受け、各自治体での取り組みが行われています。今回は、「里山資本主義」著者の藻谷浩介氏から「地方創生」についてのレクチャーのほか、小規模地域における公共交通の話から再エネの話まで専門家にお越しいただき、盛りだくさんの内容で持続可能な発展を目指す自治体会議(通称:持続会)を開催しました。

今回は年に一度の持続会オープン(公開形式)ということで、上記6自治体の町長、副市長、副町長、役場の担当の方々のほか、クラブヴォーバン(以下CV)法人会員、非会員自治体の岩手県雫石町の町長、群馬県長野原町の副町長も参加されました。

 

第一部の特別講座では、前職で長野県のエネルギー政策に携わっていた自然エネルギー財団の田中信一郎氏から、県としてエネルギー自立や再エネ政策に積極的に取組んでいる長野県における取組みの特徴についての話がありました。次にCV代表の村上敦より、今後少子高齢化で人口減少の局面を迎える自治体が、上下水道などのインフラ維持や住民の交通手段を、どのようにコストを抑えつつ確保していくか、ドイツの事例を元に集住化やコンパクト化をベースとしたまちづくりについての提案がありました。次に日産自動車モビリティ・サービス研究所主管研究員の藤本博也氏から、欧州や中国・韓国・インドネシアの公共交通・施策のシフトや最近のトレンド、まち中心部に人を呼び人が集える仕掛け、小規模自治体目線から考えた将来の移動手段や目指すべき方向性の話がありました。

 

第二部の本会議では、CV会員自治体のうちの3自治体から最近の取組みの報告。北栄町の西尾浩一副町長からは、今年度省エネ改修をテーマにエコ加算制度を策定し、町直営の風力発電所の売電収入の一部から遮熱などの改修に補助金拠出について紹介。ニセコ町建設課都市計画係長の金澤礼至氏からは、公共建築の改修・新築、民間建築の改修・新築それぞれのカテゴリで、どのような断熱工事に対し交付金や補助金を出してきたのか、具体的な断熱効果を現す数値とともに事例紹介。人口が急増中のニセコ町では、今後町で定める断熱・遮音性能などを満たし性能表示を行うものについて建築費を補助し、町内の民間賃貸住宅の良質なストック形成と市場適正化をはかるそうです。

 

下川町の環境未来都市推進課地方創生推進室室長の簑島豪氏からは、地域熱供給施設を中心とした、各公共施設やコミュニティセンターやカフェ、集住化住宅、EV充電器による ①エネルギー自給の向上②環境配慮建築の導入③地域資源の活用による新産業創造④集住化による自立型コミュニティモデルの創造 について。また、地区ごとの10年後の人口動態の数値を具体的に算出、就農・定住を目指す若者と離農したい高齢者を相互支援し、離農後もこの地域に住み続けたい高齢者は町の集住化住宅へ移住、共同菜園で農業を続けられるようにといきがいの創出も行っています。

 

次に、「里山資本主義」の日本総合研究所主席研究員藻谷浩介氏からは、当日前後の講演の合間を縫ってお越しいただき「地方創生の考え」について。「CV村上さんおよび持続会の活動は極めて重要だと思うので、ぜひ会員が増えるようにお話ししたい」とのお言葉もいただきました。いくら地域が稼いでも、銀行にお金をためるだけや地域振興にならない使い方をしていては、サステナビリティがないこと、また、具体的な人口動態を元に、少子高齢化は田舎ではなく地方の都市部でこそ急速に進んでいることが示されました。地域の活性化に必要なことは、交通の便を更によくすることでも工場を誘致することでも好景気不景気と騒ぐことでもなく、「人口が減らなくなること。」「若者が戻ってきて、子どもが生まれ続けること。」「誇りを持って地域を残すこと。」この3つだとの指摘がありました。自動車工場のある豊田市や原発立地自治体でも、労働可能世代の人口は減少し高齢化が進行している一方、高齢化しても人口構造が安定している北海道西興部村や島根県隠岐島の海士町では、若年層の出生増による人口増加や青年層のUIターンや島留学受け入れで人口増をはかっている例が紹介されました。会員自治体のニセコ町は、人口が急増中(外国人だけではない)なのは、食材も建材も道の駅もニセコ町産のものだらけで地元にたくさん仕事があるからで、「地域内でお金を回す超優良なまち」と評価されていました。


次に龍谷大学リサーチセンターの櫻井あかね氏から、再エネ事業を誰が担い、自治体が何をして、どうやって地域のお金を地域に振り向けていくのか、という視点での発表がありました。太陽光のメガソーラー発電所と風力発電所を例に挙げ、住民とのトラブルや景観などの問題に配慮しつつ、地元資本で発電し、再エネの利活用の利益は地元に還元して地域内で資金循環を創出するために、地域住民が議論して決定・実行していく自治力が必要のとこと。地元に利益が還元されている再エネ事業の成功事例紹介がありました。


立命館大学経営学部教授のラウパッハ・スミヤ ヨーク氏からは、再生可能エネルギーによる地域の経済的付加価値を数値化・見える化をするためのドイツの評価ツールの日本版モデル(京大や環境エネルギー政策研究所などとともに構築)を使った事例研究の発表。「地域の付加価値」=「事業に関わってきた人たちの所得+事業者の利益+地方に落ちる税金」。このモデルによる試算では、長野県では2000~2034年度累積で再エネ事業への補助金がたった50億円だが、6300億円の売上げ、600億円もの地方税増収、売上げの約25%の1500億円が、地域の付加価値になるとのこと。このようなツールを使って、自治体の政策策定に活かすべきではないかと提案がありました。

続きを読む 0 コメント

「持続可能な発展を目指す自治体会議」アーカイブ

2015年、クラブヴォーバンは持続可能なまちづくりを実現するため全国の先進自治体とともに「持続可能な発展を目指す自治体会議(以下「持続自治体会議」)」を設立しました。

日本では今後急速に人口減少が進み、地域経済が崩壊し、半数以上の自治体が消滅の危機を迎えると考えられます。(参考:国土交通省「国土の長期展望」)
このような状況でも自治体の持続可能な発展を実現するためには、
 ①域外にできるだけお金を流出させないこと
 ②地域に還元できる形で価値を生み出し、流入するお金を最大化すること
 ③地域内で経済を循環させること
 上記①〜③を実現する仕組みづくりが重要です。

そこで、持続自治体会議ではエコノミー・エコロジー・ソーシャルをキーワードに、エネルギー(省エネ建築、再エネ等)・都市計画・地域資源の有効活用など様々な分野で情報交換・レクチャー・議論を行い、参加自治体がここで得られた情報やノウハウを具体的な政策や事業につなげ、上記の仕組みづくりを実現することを目指して活動します。

2016年

1月

28日

毎日新聞に持続可能な発展を目指す自治体会議が掲載されました

2016年1月28日の毎日新聞(東日本版)に、21日に開催した「持続可能な発展を目指す自治体会議(第三回)」の様子が掲載されました。

http://mainichi.jp/articles/20160128/ddm/010/040/022000c

0 コメント

2016年

1月

26日

持続可能な 発展を目指す自治体会議第三回目を開催しました!

1月21日、第三回目の持続可能な発展を目指す自治体会議(以下「持続自治体会議」) を開催しました。


この会議では、「持続可能なまちづくり」を進める上での高度なノウハウや知見を持つ専門家や研究者らと、すでに先進的な取り組みを始めている全国の自治体が集まり、交流を深めています。
 
今回は、住宅の空き家問題解決・集住化、省エネ建築の推進、再生可能エネルギーの推進、過疎地・高齢化の交通インフラ対策など、人口減少・高齢化社会に向けての課題解決やエネルギー自立に向けて、専門家・研究者らから様々な視点で自治体への提案が行われました。
 
また、北海道下川町・ニセコ町、岩手県二戸市・葛巻町、鳥取県北栄町の町長や副市長、自治体職員の方々(持続自治体会議の会員)が、地域を超えた連携提案について話し合い、先進事例として鳥取県北栄町の取り組みが共有されました。
 
今回は設立から数回目の顔合わせということで、本会議の休憩中や会議終了後の懇親会の場で、参加者の皆さんが活発な意見・情報交換を行っていたことが印象的でした。
 
今年度も、会員自治体の持続可能なまちづくりの先駆的な取り組みがさらに加速するよう、事務局であるクラブヴォーバンとしてもさらにサポートを続けてゆきたいと思います。
 
ご参加、ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました!

0 コメント

2015年

12月

22日

持続可能な発展を目指す自治体・省庁連携会議を実施しました!

12 月 17 日 に持続可能な発展を目指す自治体会議(以下「持続自治体会議」)特別編として、 持続自治体会議メンバー+高知県梼原町、熊本県小国町といった小規模・先進自治体と一部 省庁による連携会議を実施しました。

今回の連携会議では各自治体で実施中または今後実施する取組や課題となっていること、 来年度の事業などについて自治体同士および省庁の方々と情報・意見交換を行いました。 全国のパイオニア自治体と省庁の方々が集合したイベントということで会議本編も懇親会 も大いに盛り上がって話が尽きず、今後の持続可能なまちづくりに向けて新たなアイディ アが生まれる予感がしました。

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

参加自治体 : 北海道下川町、ニセコ町、岩手県二戸市、葛巻町、鳥取県北栄町(以上、持続 可能な発展を目指す自治体会議会員自治体)、高知県梼原町、熊本県小国町


参加省庁 : 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局(内閣府地方創生推進室)、資源 エネルギー庁、環境省、林野庁
 

0 コメント

2015年

12月

15日

2016年1月21日に持続可能な発展を目指す自治体会議(第3回)を開催します

2016年1月21日に「持続可能な発展を目指す自治体会議」を開催します。
今回は日本各地の再エネ・省エネに絡めたまちづくりの具体的な取組や動き、小規模自治体の交通対策やコンパクトシティ化などをテーマにレクチャーやディスカッションを行い、地域に経済循環を生み出すしくみづくりを考えていきます。

続きを読む 0 コメント

2015年

10月

29日

自治体相互視察 in 北海道下川町 を実施しました(持続可能な発展を目指す自治体会議)

2015年10月19日~20日に持続可能な発展を目指す自治体会議(持続自治体会議)の会員自治体の皆さんとCVスタッフ合計16人で下川町視察を実施しました。

まずは下川町役場でオリエンテーション。
谷町長のご挨拶、参加者の自己紹介、下川町の取組や将来像、戦略についてのレクチャーがありました。
下川町は人口約3,500人、町面積の88%が森林です。豊富な森林資源を活用し、循環型でゼロ・エミッションの林業・林産業、森林と企業・都市をつなぐイベントやサービス、木質バイオマスによる地域熱供給、集住化による集落再生…などなど、持続可能な発展のための様々な取組を行っています。
平成20年に環境モデル都市・平成23年に環境未来都市として選定され、数々のモデル事業を実施。
地方創生の柱はエネルギー自給で、公共施設の熱供給の60%を木質バイオマスを中心とした再生可能エネルギーに転換しています。外部からのエネルギー購入費の削減分は基金として積み立て、再エネボイラーの更新や子育て支援などに充てています。
そんなパイオニア自治体・下川町の取組の現場を見せてもらいました。

1 森林組合北町工場

こちらでは町内の森林から伐採した木を建築・土木用資材や木炭に加工しています。
こちらで行っているのはただの木材加工ではなく、1本の木のあらゆる部位を活用して加工・販売する”ゼロ・エミッション木材加工”です。
木材加工の過程で出てくる木酢液は木材の天然の防腐材に、端材やオガコは調湿剤や融雪剤に…というふうに、地域資源である木を余すところなく活用し、付加価値をつけて販売しています。
さらに、木材だけでなく枝葉も活用。トドマツからエッセンシャルオイルを抽出し、アロマオイル・ミスト、枕、石鹸などに加工して販売しています。どれもとてもいい香りでデザインもお洒落。インターネットでも販売しており、首都圏で人気を集めています。

▼エッセンシャルオイル等はこちらから購入できます(フプの森)
http://fupunomori.net/

続きを読む 0 コメント

2015年

10月

26日

持続可能な発展を目指す自治体会議(第2回)を開催しました

2015年10月15日に第2回会議を実施しました。
前回は会員自治体と講師・スタッフのみに限定していましたが、今回は会員以外の自治体関係者をはじめ、研究者や一般の方などにもオープンなかたちで実施し、合計約70名にご参加いただきました。

特別講座では、省エネ建築・改修とエネルギーの高効率化をテーマに3つのレクチャーを実施。
ドイツのエネルギーシフトの全体像や日本の自治体でエネルギーシフトに取り組むと地域はどうなるのか?などを解説し、自治体ができる具体策について提案しました。

続きを読む 0 コメント

2015年

9月

04日

2015年10月15日に持続可能な発展を目指す自治体会議(第2回)を開催します

2015年10月15日(木)に都内で「持続可能な発展を目指す自治体会議(第2回)」を開催します。
1日で省エネ建築・再エネ・不動産・交通…といった様々なレクチャー&ディスカッションを予定しており、今回は自治体関係の方々の聴講を募集します。
今後の人口減少時代に対応するまちづくりを具体化するうえで道しるべとなる内容を準備しておりますので、ぜひご参加くださいませ!
お申込み・お問合せは下記担当までご連絡をお願いします。

続きを読む 0 コメント

2015年

3月

23日

2015年2月26日 設立会議

2015年2月26日に設立会議及び特別講座を実施しました。
概要は次のとおりです。

<特別講座>
日 時:2015年2月26日(木)13:00〜14:30
場 所:新橋CVサロン
参加自治体:北海道下川町、ニセコ町、岩手県二戸市、葛巻町、鳥取県北栄町
テーマ及び登壇者:
 公団型住宅の省エネ改修事例とその効果(CV理事 中谷哲郎)
 地域暖房とコジェネ、エネルギーの高効率化について(CV代表 村上敦)
 再エネの世界で今起きていること 風力発電の現状と展望
                   (CVコアメンバー/ウィンドコネクト代表 斉藤純夫)

詳細はこちらをご覧ください

<設立会議>
日 時:2015年2月26日(木)15:00〜18:30
場 所:新橋CVサロン
参加自治体:特別講座と同じ
テーマ及び登壇者(抜粋):
 省エネ建築の推進とエネルギーパスの活用(CV理事 今泉太爾)
 長野県環境エネルギー戦略(長野県環境部環境エネルギー課企画幹 田中信一郎)
 空き家対策とその展望について(CVコアメンバー/不動産コンサルタント 長嶋修)
 地域力を強めるニセコ町(ニセコ町企画環境課 大野百恵)

詳細はこちらをご覧ください

0 コメント